2015年よりNPO法人CANVASは、日本マイクロソフト株式会社の助成を受け、「Programming for ALL」プロジェクトを開始しました。プロジェクトでは、遠隔地在住の子ども達・障害のある子ども達・女性など、現状プログラミングを学ぶ機会が充分でない子ども達を対象に授業やワークショップなどのモデルケース作りに取り組み、その際に東京都立光明学園と連携を開始し、肢体不自由の障害がある中高生を対象にしたプログラミング教育を実践してきました。
総務省事業の実証では、これまでの実証を生かし知識技能の習得だけでなく、体験が実社会での暮らしやキャリア形成に活かされるよう、下記の3つの視点を大切にした授業設計をしました。
3つの視点や生徒の特性を踏まえ、自分や他者へのサービスを考える事や、世の中の技術や製品の仕組みを知ってもらうために、自分以外の生徒が使う事を想定して作品をつくる事や、IT企業社員の方からの仕事紹介を聞く体験などの内容を4つのプログラミングの授業に取りいれました。
●メンター募集をしたコミュニティ:Kidsプログラミングサポーター
CANVASが2015年から日本マイクロソフト株式会社の助成を受けて実施しているプログラミング教育普及プロジェクト「Programming for ALL」の取り組みの1つ。民間人材が教育現場に参画する機会を作るために、日本マイクロソフト株式会社社員はじめIT企業人材や地域人材にプログラミング教育の研修会を開催。研修を受けた人材とともに、ワークショップを協働開催するなどして地域の子ども達に体験を届けています。
今回の総務省事業実証のために授業に参加してくれるメンターを募集。新たに研修会を実施し、教材体験や障害特性の理解、またファシリテーション研修を行った上で、生徒に寄り添いささえるサポート人材として授業に参加してもらいました。
①「サポートにあたってのマインドセット」
プログラミング教育の良い所の1つとして、生徒が自ら手を動かしてプログラムを作り、その動作を確かめ試行錯誤できることがある。プログラミング教育の貴重な学びを、伴走役として支えることを今回のメンターに期待する役割とした。
民間人材が学校の授業に参加するにあたり、授業の内容に準じた教材体験や障害特性を理解する研修は必須内容だが、生徒の学びを促進するためにファシリテーション研修をより重要視し、サポートにあたってのマインドセットやサポートの5つのコツを紹介した。
②「生徒1人1人の理解度に合わせた言葉かけ、課題設定」
生徒が先生の指示をすぐに理解できなかったときに、隣にいるメンターが指示を復唱したり、わかりやすい言葉で言い換えて生徒に伝えたりなど、様々なケースの紹介を交えながら生徒の理解度に合わせたサポート方法を紹介した。
③「生徒のモチベーションを上げるコミュニケーション」
生徒の意見を認めて「相槌を打つ」ことや、「難しい課題に取り組む姿勢や、工夫したところに気づき、言葉にして伝えること」などは単純ではあるが、生徒のモチベーションを上げることにつながるコミュニケーションとなることを説明した。
●授業前の進捗共有と実施後の振り返りの会の実施
「授業前の打ち合わせ」
授業は平日での実施のため、すべての授業に参加できるメンターはいなかった。そのため、授業前に進捗共有と前回を踏まえて改善した面などの共有を行った。また教員・メンター・CANVASと三者が一丸となり授業を実施するために、事前打ち合わせをすることで互いの役割をシミュレーションする時間とした。
「授業後の振り返り」
授業終了後すぐに生徒たちの様子や指導面などの振り返りの会を実施した。生徒との関わり方は、研修を聞くだけではなかなか理解が難しい部分もあるため、生徒の様子で気になったことやサポートの難しかったことなどを共有してもらった。
その上でそれぞれの立場で改善策を話し合った。授業に続けて参加したメンターは次の授業でのサポート方法を意識し、続けて参加できない場合には他のメンターに何を共有すべきか意識することにつながり、個々のサポート方法、教材の工夫、授業全体の運営方法の観点で、次の授業の改善に活かすことが可能となった。
2018.04.25