とりくみ紹介
全国の学校や自治体、団体や企業によるプログラミング教育のとりくみを紹介します。

東京大学教育学部附属中等教育学校

実施日
中学3年生 50分×7回 週1回
高校2年生 50分×10回 週2回
高校3年生 50分×40回、週2回
使用言語・教材
技術教育研究会「オートマ君」、ドリトル、C、NXC
使用機材
LEGO MINDSTORMS NXT、PC
対象
高校1年生3クラス、高校2年生140名、高校3年生選択クラス18名
教科
中学3年生・「技術・家庭」技術分野
高校2年生・必履修科目「情報の科学」
高校3年生・自由選択科目「情報特論」

概要

本校では、3年生・5年生・6年生(中学3年生・2年生・3年生に相当)の授業でプログラミングを扱っています。
3年生は「技術・家庭」技術分野の授業において、「D情報に関する技術」プログラムによる計測・制御に取り組んでいます。5年生では、必履修科目「情報の科学」(2単位)を設置し、プログラミングを通してコンピュータのしくみを学んでいます。また、6年生本校では自由選択科目「情報特論」(2単位)を設置しています。この授業は年度により人数が変わりますが、だいたい12~18名程の人数で取り組んでいます。プログラミングを専門的に学ぶことと、問題解決能力を身につけることを目指しています。

とりくみのねらい・きっかけ

3年生や5年生は、技術教育研究会「オートマ君」や日本語でプログラミングを書くことができる「ドリトル」などテキストプログラミングの知識がなくても取り組める言語を利用して、身の回りにある情報技術の仕組みについて体験的に学習することや創造・表現する力を養うことをねらいとしています。
選択授業で取り組んでいる6年生は、必修授業でプログラミングを扱っている3年生や5年生の知識をベースとして、実践的な力を身につけるため、プログラミング言語Cやロボット教材「LEGO MINDSTORMS NXT」をCライクな言語であるNXCによる制御プログラムの製作をし、プログラミングを専門的に学ぶことと、問題解決能力を身につけることを目指しています。

学習の流れ

「オートマ君」を使った制御実習(中学3年生 「技術・家庭」技術分野)

3年生(中学3年生に相当)の「技術・家庭」技術分野の授業において、「D情報に関する技術」プログラムによる計測・制御について扱っています。

具体的には、「オートマ君」を使った制御実習と、簡易NC加工機「グリロボ」によるスチロール版の加工をおこないます。使用機材は、「オートマ君」入出力ボードとオート三輪です。生徒の実の周りでは、さまざまなものにコンピュータが組み込まれ、自動化されていること、製品の設計・制作にもコンピュータが利用されていることを体験的に学習しています。
技術科の授業でのオートマ君によるプログラミング教育は2009年から取り組んできました。

オートマ君による制御プログラムの制作実習を通して、コンピュータによる自動化を学習します。自動化におけるコンピュータの働きは「入力→処理→出力」を繰り返しであり、このコンピュータの働きがわかることが授業の目標です。
オートマ君では、5つの命令を組み合わせてプログラムを書けます。授業では2人1組で、車を前進させる、ジグザグに走らせる、クランクコースを走行する、缶を見つけたら机のしたに落とすなどの課題に取り組んでいます。

*使用言語 技術教育研究会「オートマ君」
*教材 コンピュータでひらくものづくりの技術(下巻)『自動化からはじめるコンピュータ学習』

「ドリトル」を使ったプログラミング(高校2年生 「情報の科学」)

5年生(高校2年生に相当)に必履修科目「情報の科学」(2単位)を設置しています。この授業は、1クラス40名に教員1名で実施しています。

授業では、コンピュータやネットワークの仕組みを学ぶことにより、情報社会においてより良く生きていくための力を身につけることを目標としています。
授業は、コンピュータの演算の仕組み、コンピュータによるデータの表現方法、コンピュータを動かすためのプログラム、コンピュータ・ネットワークの仕組みについて学ぶという流れです。 高校情報科の授業でのプログラミング教育には2003年から取り組んでおり、ドリトルによるプログラミング教育は2009年から取り組んできました。

この授業では生徒がプログラムを製作する体験を通して、プログラムの働きやプログラムがどのようにできているのか、プログラマの仕事、ソフトウェアの価値がわかることを目標としています。
ドリトルを使う理由は、日本語によりプログラムを書けるため、プログラミングが初めての生徒でも取り組みやすいこと、カメのアイコンを動かして図形を描けるため、プログラム上での命令と実行結果の関係を視覚的に理解しやすいことが挙げられます。

高校段階では、ある程度の長さのプログラムを文字入力により書くことによって、プログラムを作ることの達成感や難しさを感じさせたいと思っています。
最後には生徒が自分で考えたオリジナルなプログラムを制作する。その際、過去の生徒の作品などを参考にさせ、プログラムにも著作権があることを意識づけることも大切にしています。

C言語のプログラミングとLEGO MINDSTORMSの計測・制御(高校3年生 「技術・家庭」技術分野)



6年生(高校3年生に相当)に、自由選択科目「情報特論」(2単位)を設置しています。この授業は年度により人数が変動しますが、概ね12~18名程度で実施しています。

授業では、プログラミングを専門的に学ぶことと、問題解決能力を身につけることを目指しています。4月から7月までは、C言語によるプログラミングをおこなっています。生徒はテキストエディタでコードを書き、C Compilerによりコンパイルして実行します。9月以降の授業では、ロボット教材「LEGO MINDSTORMS NXT」をNXC言語を用いて制御する実習をおこないます。
自由選択科目での「LEGO MINDSTORMS NXT」によるプログラミング教育には2008年から取り組んできました(2014,2015年度は選択希望の生徒が少なかったため開講されませんでした)。

この授業では、5年生(高校2年生に相当)の「情報の科学」で学んだプログラミングの知識をベースにして、より実践的な力を身につけるため、プログラミング言語Cによるプログラミングをおこないます。また、3年生(中学3年生に相当)で学習した制御の発展として、「LEGO MINDSTORMS NXT」をCライクな言語であるNXC言語を使って制御プログラムの製作をおこないます。NXCによる制御プログラムの制作は2人1組でおこなう。
後半は簡単な課題(ライントレース、台を乗り越える、バスケットにボールを入れるなど)に取り組んでいます。