とりくみ紹介
全国の学校や自治体、団体や企業によるプログラミング教育のとりくみを紹介します。

千葉県立千葉工業高等学校

使用言語・教材
Scratch、Swift(SwiftPlaygrounds)、VBA
使用機材
iPad Air2、Winodws7PC

概要

本校は、昭和11年4月、千葉県で最初にできた工業学校を前身としています。現在、全日制の学科には、工業化学科、電子機械科、電気科、情報技術科、理数工学科が、定時制の学科には電気科、機械科があります。 

県下の広範囲から生徒が通学しており、多くの生徒が工業高校の特徴を活かして様々な資格を取得し、工業関係の大会でも活躍しています。ここ数年の特徴として、女子生徒の増加や海外交流があります。

2015年には文部科学省から、専門性の高い知識や技能を持つ人材育成を図る「スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール」(SPH)の指定校に選ばれ、2016年度に開設された理数工学科では、BYOD形式により9.7インチiPad Proの導入を行い、全学的なクラウド環境の導入を始めとするICT環境の充実を図り、社会の第一線で活躍できる人材育成を目指しています。

とりくみのねらい・きっかけ

工業高校では40年以上前より、プログラミング学習に力を入れてきました。しかし、スマートフォンをタップした瞬間にアプリを購入できるような時代になった昨今、C言語のコードを書き、コンパイルし、単純な数字が出るようなプログラミング学習だけでは、労力の割に結果が地味で、生徒たちは興味を示さなくなるケースが増えてきています。そこで、本校、電気科では3年前より、「プログラミング技術」の授業を見直し、生徒が楽しみながらプログラミングを理解してくれるような工夫を行いました。

電気科3年生「プログラミング技術」におけるプログラミング学習

基本情報

対象:電気科3学年
時期:9月〜1月
教科:「プログラミング技術」
参加人数:80名
使用言語:Scratch、Swift(SwiftPlaygrounds)、VBA
使用機材:iPad Air2、Winodws7PC

授業の流れ

1学期

コンピューター学習は個人で行う場合、能力の差が大きく、壁にぶつかりやすいため、「抽選」で2人1組のペアを作り、エクセルのワークシート作成学習を通じて、協力して話し合いながら、1つの作品をつくる演習を行いました。ここでは、絶対に関数以外、利用しては行けないというルールがあるため、細かい制御を行うためには、別の何か(VBA)が必要であるという気づきもさせる狙いがあります。

2学期

プロラミングの基本は、コマンドの順次実行です。2016年9月にAppleより「SwiftPlaygrounds」が利用できるようになったため、SPHで導入したiPadAir2を用いて、パズル形式でプログラミングの基礎(順次実行)を学ばせました。また、同アプリには「関数(function)」の内容も出てくるが、こちらは教員からほぼノーヒントで取り組みをさせましたが、iPadの持ち歩くことが出来る!という特性を活かし、クラス内で、自分たちでiPadを見せ合いながら試行錯誤をして学習していました。(2週4時間)

この授業の目的はエクセルVBAの「ソースコード」を記述し、トライ&エラーを繰り返しながら作品を作り上げることですが、そのハードルを少しでも下げるため、3年前より「Scratch」を導入しています。Scratchの導入の目的は、「試行錯誤」を行いやすいこと、「変数やパラメータ」を学びやすいことがあげられます。プログラミング自体は定番の「猫が来た」や「シューティングゲーム」であるが、実際にプログラミングを行い、動かし、試行錯誤をする過程が生徒にとって分かりやすいため、非常に効果的であると生徒から好評です。(3週6時間程度)

最後は、エクセルのVBAです。エクセルの操作は1年生、および3年生でおこなっているため、実際の授業はVBAエディタの利用方法と簡単なサンプル、マクロ形式の保存方法のみです。あとは、文法も含めてすべてチームで、書籍やネット上の情報を調べ協力して理解をしていきます。教員は2名ついており、各チームを巡回しながら、アドバイスを送る。この授業はただ単に作りっぱなしではなく、最後の時間に、チームが作った作品を、コード上あるいはインターフェースで工夫した部分を含めて発表する事にしています。

コンピューターの授業は、出来る者、出来ない者で能力差が激しいため、常にペアやチームで学習できるようにしています。また、iPadを用いる授業では座席の指定もしていません。決まった座席に座り、一言も話さず、整然と授業を行うことも必要ですが、友人との建設的な対話を通じて、解決までの時間を短くすることも、一つの方法であるということもメッセージとして伝えています。

メディア掲載情報

「千葉工業高校がWindowsタブレットではなく「9.7インチiPad Pro」を選んだ理由」
現役高校生が校内無線LANを構築? 9.7インチiPad Pro導入の千葉県立千葉工業高校
「MacFan 9月号」